小説
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『氷点』[ 敵 ]7 夏枝は思わず目を上げ…………
夏枝は思わず目を上げた。つややかな瞳に、長いまつげが影を落としている。とおった鼻筋に気品があった。紺地の浴衣に、雪国…
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『氷点』[ 敵 ]6 取手が、ガチャリと音…………
取手が、ガチャリと音を立てた。長い沈黙の中で、その音が夏枝には、ひどく大きく響いた。〈作品本文の凡例〉https://www.miu…
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『氷点』[ 敵 ]5 突然、村井は無言のま…………
突然、村井は無言のまま立ち上がると、大股にドアのところまで行って取手に手をかけた。〈作品本文の凡例〉https://www.miura…
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『氷点』[ 敵 ]4 辻口家の応接室に、辻…………
辻口家の応接室に、辻口啓造の妻、夏枝と、辻口病院の眼科医村井靖夫が、先ほどから沈黙のまま、向かい合って椅子に座ってい…
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『氷点』[ 敵 ]3 遠くで祭りの五段雷が…………
遠くで祭りの五段雷が鳴った。昭和二十一年七月二十一日、夏祭りのひる下がりである。〈作品本文の凡例〉https://www.miura-t…
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『氷点』[ 敵 ]2 旭川市郊外、神楽町の…………
旭川市郊外、神楽町のこの松林のすぐ傍らに、和、洋館から成る辻口病院長邸が、ひっそりと建っていた。近所には、かぞえるほ…
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『氷点』[ 敵 ]1 風は全くない。東の空…………
風は全くない。東の空に入道雲が、高く陽に輝いて、つくりつけたように動かない。ストローブ松の林の影が、くっきりと地に濃…
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『塩狩峠』[ かくれんぼ ]377 鳥も通わぬえぞが島と…………
鳥も通わぬえぞが島と歌に聞くさええぞは遠い寂しいところである。あまりにも突然の話に、信夫は呆然として、吉川を見あげて…
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『塩狩峠』[ かくれんぼ ]376 うなずいた吉川の目に…………
うなずいた吉川の目に涙がみるみるうちに盛りあがった。〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『塩狩峠』[ かくれんぼ ]375 「うん」…………
「うん」〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『塩狩峠』[ かくれんぼ ]374 「えぞ? えぞへか?…………
「えぞ? えぞへか?」〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『塩狩峠』[ かくれんぼ ]373 いつもおだやかな表情…………
いつもおだやかな表情をしていた吉川が、今にも泣き出しそうな顔で、じっと信夫を見た。〈作品本文の凡例〉https://www.miura…
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『塩狩峠』[ かくれんぼ ]372 「俺、えぞへ行くんだ…………
「俺、えぞへ行くんだ」〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『塩狩峠』[ かくれんぼ ]371 信夫は、何のことかわ…………
信夫は、何のことかわからなかった。〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『塩狩峠』[ かくれんぼ ]370 「お別れって?」…………
「お別れって?」〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『塩狩峠』[ かくれんぼ ]369 菊の目がうるんでいた…………
菊の目がうるんでいた。〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『塩狩峠』[ かくれんぼ ]368 「信夫さん、吉川さん…………
「信夫さん、吉川さんはお別れに見えたのですよ」〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『塩狩峠』[ かくれんぼ ]367 窓から吉川の顔がのぞ…………
窓から吉川の顔がのぞき、そのうしろに菊が立っていた。〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『塩狩峠』[ かくれんぼ ]366 「何だ、帰っていたの…………
「何だ、帰っていたのか」〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『塩狩峠』[ かくれんぼ ]365 と叫んだ。…………
と叫んだ。〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『塩狩峠』[ かくれんぼ ]364 「吉川!」…………
「吉川!」〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『塩狩峠』[ かくれんぼ ]363 菊が吉川の肩に手をお…………
菊が吉川の肩に手をおき、吉川はじっとうつむいている。ふいに信夫は胸の中にぽかっと穴のあいたような寂しさを感じた。母が…
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『塩狩峠』[ かくれんぼ ]362 いちょうの木によって…………
いちょうの木によって信夫は十まで数えて目をあけた。せみが鳴いている。だれも答えない。信夫はそっと足をしのばせて物置小…
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『塩狩峠』[ かくれんぼ ]361 「もういいかい」…………
「もういいかい」〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『塩狩峠』[ かくれんぼ ]360 次は待子が鬼になり、…………
次は待子が鬼になり、次は信夫が鬼になった。〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『塩狩峠』[ かくれんぼ ]359 信夫はふじ子と二人で…………
信夫はふじ子と二人でそっとかくれているのが楽しかった。今まで、かくれんぼをして、こんな風に何か甘っ苦しいような楽しさ…
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『塩狩峠』[ かくれんぼ ]358 (いつまでも見つから…………
(いつまでも見つからないといいな)〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『塩狩峠』[ かくれんぼ ]357 「ううん、何でもない…………
「ううん、何でもない」〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『塩狩峠』[ かくれんぼ ]356 ふじ子もそっと答えた…………
ふじ子もそっと答えた。長いふかぶかとしたまつ毛の下の澄んだ目も「なあに?」といっている。〈作品本文の凡例〉https://www…
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『塩狩峠』[ かくれんぼ ]355 「なあに」…………
「なあに」〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463