『果て遠き丘』
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『果て遠き丘』［ 蛙の声 ］（四）12 いや、それだけなら保……
いや、それだけなら保子は迷わなかった。いますぐツネが帰ってきたとしても、すでに便りがきている以上、ツネは強く咎めるこ…
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『果て遠き丘』［ 蛙の声 ］（四）11 一瞬保子は、上げるべ……
一瞬保子は、上げるべきか否かと迷った。祖母のツネがそろそろ帰る時間なのだ。香也子からツネ宛に、茶を習いたいという便り…
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『果て遠き丘』［ 蛙の声 ］（四）10 「よくきたわねえ、香……
「よくきたわねえ、香也ちゃん」〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『果て遠き丘』［ 蛙の声 ］（四）9 香也子は大きくうなず……
香也子は大きくうなずいた。五、六歳の幼女のようなうなずき方だった。〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『果て遠き丘』［ 蛙の声 ］（四）8 「一人で？」……
「一人で？」〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『果て遠き丘』［ 蛙の声 ］（四）7 思わず保子は手をとっ……
思わず保子は手をとった。小さな手が保子の手の中に頼りなく包まれた。〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『果て遠き丘』［ 蛙の声 ］（四）6 「香也ちゃん、あんた……
「香也ちゃん、あんた……」〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『果て遠き丘』［ 蛙の声 ］（四）5 子供っぽく、ぴょこり……
子供っぽく、ぴょこりと頭を下げて、香也子は母の保子を見た。〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『果て遠き丘』［ 蛙の声 ］（四）4 「お晩です」……
「お晩です」〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『果て遠き丘』［ 蛙の声 ］（四）3 声とも息ともつかぬ声……
声とも息ともつかぬ声で、保子はまじまじと香也子を見つめた。〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『果て遠き丘』［ 蛙の声 ］（四）2 ツネかと思って「お帰……
ツネかと思って「お帰りなさい」といいかけた保子は、ハッと息をのんだ。ピンクのスーツを着た香也子が、ニコッと笑ってはい…
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『果て遠き丘』［ 蛙の声 ］（四）1 「あら……」……
「あら……」〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『果て遠き丘』［ 蛙の声 ］（三）23 活け終わった壺を、玄……
活け終わった壺を、玄関にしつらえた小さな床に保子は運んで行った。壺と同じ青いきものが、保子の白い肌によく合っている。…
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『果て遠き丘』［ 蛙の声 ］（三）22 自分で勝手に出て…………
自分で勝手に出て……という思いもないではないが、容一に会うたびに、保子は一度捨てた妻の座を、なんとしてでも奪い返したい…
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『果て遠き丘』［ 蛙の声 ］（三）21 香也子のためにプール……
香也子のためにプールをつくってやるのも、小鳥の部屋をつくってやるのもいい。しかし、その豪奢な邸宅の主の妻が、この自分…
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『果て遠き丘』［ 蛙の声 ］（三）20 「叔母さん、一度行っ……
「叔母さん、一度行ってみな。高砂台一大きな家を探せば、それが叔父さんの家だから。何せ今年はね、庭にプールをつくるんだ…
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『果て遠き丘』［ 蛙の声 ］（三）19 保子は、高砂台の丘に……
保子は、高砂台の丘に新築したという容一の家を知らない。甥の小山田整から、その豪壮な邸宅の様子は聞いている。〈作品本文…
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『果て遠き丘』［ 蛙の声 ］（三）18 と、そのたびにいうの……
と、そのたびにいうのだ。〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『果て遠き丘』［ 蛙の声 ］（三）17 「別れるべきじゃなか……
「別れるべきじゃなかったな、おれたちは」〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『果て遠き丘』［ 蛙の声 ］（三）16 容一との間に十年の空……
容一との間に十年の空白があったことが、二人の再会を新鮮なものにさせていた。小料理屋で会って以来、もう三度、保子は容一…
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『果て遠き丘』［ 蛙の声 ］（三）15 いま、章子が結婚すれ……
いま、章子が結婚すれば、それで扶代の母としての勤めは立派に終わる。しかし、自分と橋宮の間には、恵理子と香也子の二人が…
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『果て遠き丘』［ 蛙の声 ］（三）14 （扶代さんと橋宮の間……
（扶代さんと橋宮の間には、子供がいないんだもの）〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『果て遠き丘』［ 蛙の声 ］（三）13 興ざめした容一が、く……
興ざめした容一が、くるりと背を向けて、むっつりと寝こんだ姿を保子は思い出す。容一を扶代に追いやったのは、とにかく病的…
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『果て遠き丘』［ 蛙の声 ］（三）12 「あなた、手はきれい……
「あなた、手はきれい？ 体はきれい？」〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『果て遠き丘』［ 蛙の声 ］（三）11 確かに自分の潔癖は病……
確かに自分の潔癖は病的だと、保子も思っている。かつて、容一が不意に保子を抱こうとした時など、保子は必ず聞いたものだ。…
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『果て遠き丘』［ 蛙の声 ］（三）10 その言葉を保子は深く……
その言葉を保子は深く心に受けとめて聞いた。〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『果て遠き丘』［ 蛙の声 ］（三）9 「扶代が君よりいいと……
「扶代が君よりいいところは、神経質でないことだよ。汚い汚いって、むやみやたらにいわんことだよ。しかし他の点では、君の…
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『果て遠き丘』［ 蛙の声 ］（三）8 このあいだ、ニュー北……
このあいだ、ニュー北海ホテルで容一に会った時、容一はいった。〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『果て遠き丘』［ 蛙の声 ］（三）7 保子は恐る恐る自分の……
保子は恐る恐る自分の掌を見つめた。それを返してふっくらとした手の甲を見る。その手の甲に、保子はおずおずと口をふれてみ…
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『果て遠き丘』［ 蛙の声 ］（三）6 切った葉を古新聞にま……
切った葉を古新聞にまるめて籠に捨て、洗面所に立って行って、手を洗おうと蛇口をひねった。勢いよくほとばしる水に手を出そ…
