『氷点』
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『氷点』[ 敵 ]20 「まあ、こんなに小さ…………
「まあ、こんなに小さいんですの。あんまり痛いものですから、どんな大きなゴミかと思いましたわ」〈作品本文の凡例〉https:/…
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『氷点』[ 敵 ]19 村井は白いちり紙に、…………
村井は白いちり紙に、ピンセットをなすりつけるようにして炭塵を移した。それを見る二人の頬がふれ合わんばかりに近いのを、…
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『氷点』[ 敵 ]18 「これなら、見えます…………
「これなら、見えますでしょう」〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『氷点』[ 敵 ]17 手術台の上に片手をつ…………
手術台の上に片手をついた姿勢で、夏枝は小首をかしげて微笑した。〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『氷点』[ 敵 ]16 「見えませんわ。あま…………
「見えませんわ。あまり小さくて」〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『氷点』[ 敵 ]15 村井は夏枝に、ピンセ…………
村井は夏枝に、ピンセットの先の小さな炭塵を見せた。〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『氷点』[ 敵 ]14 「これですね、犯人は…………
「これですね、犯人は」〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『氷点』[ 敵 ]13 その夏枝が彼の患者と…………
その夏枝が彼の患者となったのである。手術台の上の、夏枝の角膜につきささっている微細な炭塵をとりのぞき、眼帯をかけ終わ…
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『氷点』[ 敵 ]12 無論それまで、院長夫…………
無論それまで、院長夫人である夏枝を知らない訳ではない。しかし夏枝には、まともに顔を合わすこともできないような、関心を…
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『氷点』[ 敵 ]11 今年の二月であった。…………
今年の二月であった。夏枝は、ストーブの灰を捨てる時、灰が目に入って村井に診てもらった。その時以来、村井は夏枝から心を…
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『氷点』[ 敵 ]10 そう思いながら、夏枝…………
先ほどから、村井が何を言いたがっているかに夏枝は気づいている。夏枝は、その言葉を待つ表情になった。そのような自分を意…
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『氷点』[ 敵 ]9 そう思いながら、夏枝…………
そう思いながら、夏枝は背を向けたまま立っている村井の、長身の白い背広姿を見上げて微笑した。つつましやかな、整った夏枝…
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『氷点』[ 敵 ]8 (さっきから、黙って…………
(さっきから、黙ってばかり……)〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『氷点』[ 敵 ]7 夏枝は思わず目を上げ…………
夏枝は思わず目を上げた。つややかな瞳に、長いまつげが影を落としている。とおった鼻筋に気品があった。紺地の浴衣に、雪国…
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『氷点』[ 敵 ]6 取手が、ガチャリと音…………
取手が、ガチャリと音を立てた。長い沈黙の中で、その音が夏枝には、ひどく大きく響いた。〈作品本文の凡例〉https://www.miu…
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『氷点』[ 敵 ]5 突然、村井は無言のま…………
突然、村井は無言のまま立ち上がると、大股にドアのところまで行って取手に手をかけた。〈作品本文の凡例〉https://www.miura…
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『氷点』[ 敵 ]4 辻口家の応接室に、辻…………
辻口家の応接室に、辻口啓造の妻、夏枝と、辻口病院の眼科医村井靖夫が、先ほどから沈黙のまま、向かい合って椅子に座ってい…
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『氷点』[ 敵 ]3 遠くで祭りの五段雷が…………
遠くで祭りの五段雷が鳴った。昭和二十一年七月二十一日、夏祭りのひる下がりである。〈作品本文の凡例〉https://www.miura-t…
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『氷点』[ 敵 ]2 旭川市郊外、神楽町の…………
旭川市郊外、神楽町のこの松林のすぐ傍らに、和、洋館から成る辻口病院長邸が、ひっそりと建っていた。近所には、かぞえるほ…
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『氷点』[ 敵 ]1 風は全くない。東の空…………
風は全くない。東の空に入道雲が、高く陽に輝いて、つくりつけたように動かない。ストローブ松の林の影が、くっきりと地に濃…