恵理子が作ってくれたちらしずしはおいしかった。米がぱりっと炊けていて、味つけが実に巧みだった。それに具の飾り方がうまい。薄く切った胡瓜をのせてあったのが香也子には珍しかった。香也子の家では、ちらしずしに胡瓜を使わない。そんな些細な差が、何か恵理子を立ち勝った女性に見せる。それがまた香也子には腹だたしかった。そのくせ自分の家にいるよりは、やはり楽しかった。肉親だということが、香也子をくつろがせるのだ。
〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
恵理子が作ってくれたちらしずしはおいしかった。米がぱりっと炊けていて、味つけが実に巧みだった。それに具の飾り方がうまい。薄く切った胡瓜をのせてあったのが香也子には珍しかった。香也子の家では、ちらしずしに胡瓜を使わない。そんな些細な差が、何か恵理子を立ち勝った女性に見せる。それがまた香也子には腹だたしかった。そのくせ自分の家にいるよりは、やはり楽しかった。肉親だということが、香也子をくつろがせるのだ。
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