三浦綾子文学 語句索引(製作中)
信夫は吉川の丸いおだやかな顔をながめた。どうして、こんなに吉川が好きになったのだろうと信夫はふしぎに思っている。いや、どうして今まで吉川と仲よしにならなかったのか、ふしぎだといった方が的確だった。信夫にとって吉川は、あの雨の夜、突然桜の木の下に現れた人間のような存在だった。あの夜までは、信夫は吉川に注意を払ったことがない。吉川は口重で、目立たなかった。
〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463