『塩狩峠』[ 鏡 ]42 父の永野貞行は温厚で……

父の永野貞行は温厚であった。旗本七百石の家に生まれたというよりは、公家の育ちのような、みやびやかな雰囲気の人柄であった。信夫を勝気な母のトセにまかせたきりで、ほとんど信夫には干渉することもなかった。だから、信夫は父が恐ろしいとも、やさしいとも思わなかった。だが、生まれてはじめて、その父にきびしく叱責される事件が起こった。


〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463

関連記事

  1. 『塩狩峠』[ かくれんぼ ]236 菊はほほえんで、ふじ…………

  2. 『果て遠き丘』[ 蔓バラ ](五)37 「おや、いらっしゃい……

  3. 『塩狩峠』[ 母 ]28 「信夫さん。わたしが……

  4. 『塩狩峠』[ かくれんぼ ]114 「おばあさまが、おか…………

  5. 『果て遠き丘』[ 春の日 ](七)66 青年の答えはさわやかだった。……

  6. 『果て遠き丘』[ 起伏 ](三)32 「わたしの作るもので……

カテゴリー

アーカイブ