恵理子と別れたのは、香也子が十歳のときだった。恵理子は十三になっていた。中学一年だった。香也子の思い出の中にある恵理子は、とりたてて非難のしようのない姉だった。香也子に帽子を編んでくれたことがある。勉強をみてくれたことがある。スキーにもつれて行ってくれた。一緒にままごと遊びもした。それでいて香也子は、いつも恵理子を不満に思っていた。それは、恵理子が姉であり、自分が妹であるという事実だった。
〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
恵理子と別れたのは、香也子が十歳のときだった。恵理子は十三になっていた。中学一年だった。香也子の思い出の中にある恵理子は、とりたてて非難のしようのない姉だった。香也子に帽子を編んでくれたことがある。勉強をみてくれたことがある。スキーにもつれて行ってくれた。一緒にままごと遊びもした。それでいて香也子は、いつも恵理子を不満に思っていた。それは、恵理子が姉であり、自分が妹であるという事実だった。
〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463