『果て遠き丘』[ 春の日 ](六)41 恵理子と別れたのは、……

恵理子と別れたのは、香也子が十歳のときだった。恵理子は十三になっていた。中学一年だった。香也子の思い出の中にある恵理子は、とりたてて非難のしようのない姉だった。香也子に帽子を編んでくれたことがある。勉強をみてくれたことがある。スキーにもつれて行ってくれた。一緒にままごと遊びもした。それでいて香也子は、いつも恵理子を不満に思っていた。それは、恵理子が姉であり、自分が妹であるという事実だった。


〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463

関連記事

  1. 『果て遠き丘』[ 影法師 ](一)32 「お父さん、何かご用……

  2. 『果て遠き丘』[ 春の日 ](十)26 「そうですか」……

  3. 『果て遠き丘』[ 影法師 ](八)14 「馴れ馴れしく声をか……

  4. 『果て遠き丘』[ 蔓バラ ](二)11 「わたしにはいいにく……

  5. 『塩狩峠』[ 母 ]54 「よい、もうよい。泣……

  6. 『塩狩峠』[ 桜の下 ]98 信夫の声は少しかすれ……

カテゴリー

アーカイブ