『果て遠き丘』[ 春の日 ](七)45 茶席を出た香也子は、……

茶席を出た香也子は、桜の木陰にいる祖母と、母の保子を見出した。保子が笑いかけ、近よろうとした時、香也子はついと視線をはずして、すぐにその場を離れた。ひどく冷たい表情だった。香也子はうしろもふり向かずに、いましがた隣にいた青年の姿を追った。青年はぶらぶらと、山道を登って行く。香也子は、急ぎ足で後を追った。


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