『果て遠き丘』[ 影法師 ](一)2 もう十時だというのに……

もう十時だというのに、香也子はネグリジェのまま、一時間も前から三面鏡に向かって化粧していた。部屋の片隅のベッドが、三面鏡の二枚に写っていて、ベッドが二つあるように見える。ベッドの枕もとの壁に飾られた、こうもり傘をさした山羊の絵も二枚に写っている。シャガールの複製だ。


〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463

関連記事

  1. 『果て遠き丘』[ 春の日 ](十)18 「何で別れたのかね、……

  2. 『果て遠き丘』[ 影法師 ](四)56 またもや香也子の目か……

  3. 『果て遠き丘』[ 春の日 ](九)10 容一が保子の潔癖性に……

  4. 『果て遠き丘』[ 影法師 ](八)28 と探るように見、……

  5. 『果て遠き丘』[ 春の日 ](二)48 容一は、扶代からそれ……

  6. 『果て遠き丘』[ 影法師 ](三)29 「香也子さんは雨が嫌……

カテゴリー

アーカイブ