『果て遠き丘』[ 影法師 ](七)23 思わず恵理子の声が弾……

思わず恵理子の声が弾んだ。恵理子は高校を卒業して、洋裁学校に学んだ。その頃から、洋裁店をひらいてみたいという夢をもっていた。大きくなくてもいい。きれいな、透きとおるショーウインドーの中に、自分の好きな布地で、自分の好きな形にデザインしたドレスやコートなどを飾る店を持ちたかった。が、そんなことは、ツネと保子との生活の中では、いいだしても仕方のないことに思われて、語ったことはなかった。

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