『果て遠き丘』[ 蛙の声 ](一)12 木戸門を出た時だった……

木戸門を出た時だった。不意にギターの音が流れてきた。恵理子が現れるのを待って鳴らしたかのようであった。ハッと息をのんで小川の向こうを見ると、そこに西島広之がいた。息をつめて、恵理子は西島を見た。あの野点の日から、四十日余りも経っている。西島は恵理子をじっと見つめながら、ギターを弾きつづける。


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