『果て遠き丘』[ 蛙の声 ](三)6 切った葉を古新聞にま……

切った葉を古新聞にまるめて籠に捨て、洗面所に立って行って、手を洗おうと蛇口をひねった。勢いよくほとばしる水に手を出そうとして、保子はふと思いとどまった。いましがた芍薬を庭で切り、水揚げをした時に、手は充分に洗っている。自分はいま、花と鋏、そして古新聞にふれただけだ。古新聞といっても、昨日の新聞だ。


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