離れていた十年の歳月は長過ぎた。母でありながら、母としてなじむことのできぬ違和感が、いま、香也子の胸に次第に広がっていた。その違和感は保子の側にもあった。離れていては、いいようもなく愛らしい香也子なのに、こうして面と向かうと、そのどこかに拒絶を感じた。それは、香也子が保子に感ずるよりも、ずっと少なくはあったが、しかし違和感にはちがいなかった。
〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
離れていた十年の歳月は長過ぎた。母でありながら、母としてなじむことのできぬ違和感が、いま、香也子の胸に次第に広がっていた。その違和感は保子の側にもあった。離れていては、いいようもなく愛らしい香也子なのに、こうして面と向かうと、そのどこかに拒絶を感じた。それは、香也子が保子に感ずるよりも、ずっと少なくはあったが、しかし違和感にはちがいなかった。
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