独り言をいいながら、戸棚をあけてみた。が、そこにもない。もしかしたら、自分の部屋に持って上がったのだったかもしれないと、章子は自分の部屋に戻って電灯を点けてみた。が、八畳の章子の部屋はきれいにかたづいていて、畳の上にも、片隅の朱色の文机の上にも、桐のタンスの上にも、鏡台の上にも、パウンドケーキらしいものはない。
〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
独り言をいいながら、戸棚をあけてみた。が、そこにもない。もしかしたら、自分の部屋に持って上がったのだったかもしれないと、章子は自分の部屋に戻って電灯を点けてみた。が、八畳の章子の部屋はきれいにかたづいていて、畳の上にも、片隅の朱色の文机の上にも、桐のタンスの上にも、鏡台の上にも、パウンドケーキらしいものはない。
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