『果て遠き丘』[ 蔓バラ ](一)5 死が突如としてくるこ……

死が突如としてくることは知ってはいた。が、それがあのように自分の夫の身に起ころうとは、扶代はそれまで考えたことがなかった。公務員だった扶代の父は、扶代が六歳の時、長いこと胸を病んで死んだ。母は近所の仕立物などをしながら、細々と暮らしていたが、扶代が結婚する二年前、腎臓を長く患って死んだ。


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