『果て遠き丘』[ 蔓バラ ](一)12 と、幾度も迫ることで……

と、幾度も迫ることで、扶代はさすがに心を悩ませていた。香也子に腹を立てる章子の気持ちがわからないわけではない。が、いままで長い間我慢してきて、二、三か月後には結婚する章子が、なぜすぐにもこの家を出て行きたいというのか、扶代にはわからなかった。金井と結婚する章子には、もう橋宮家は不要なのかもしれない。そしてこの家から嫁入りすることに、章子は屈辱を感じているのかもしれない。


〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463

関連記事

  1. 『塩狩峠』[ 母 ]88 そう言って、菊はその……

  2. 『塩狩峠』[ かくれんぼ ]330 「吉川は来ていないの…………

  3. 『塩狩峠』[ かくれんぼ ]21 信夫は吉川がひどく大……

  4. 『果て遠き丘』[ 影法師 ](四)4 「とめて、お兄さん」……

  5. 『果て遠き丘』[ 蛙の声 ](一)13 恵理子が立ち去ろうと……

  6. 『果て遠き丘』[ 影法師 ](六)15 たった一人の妹の名を……

カテゴリー

アーカイブ