『果て遠き丘』[ 蔓バラ ](三)17 金井は二人を天秤にか……

金井は二人を天秤にかけてみる。金井は中学の時に、よい英語の教師に会って以来、英語に強く惹かれて勉強した。ほとんどはレコードやラジオでの学習が主だったが、中学時代の英語の教師に誘われて、外人宣教師のバイブルクラスにも出た。大学は英文科を出、卒業後ただちに塾を開いた。大学時代も、塾を開くための勉強を、さまざまな形で金井は重ねてきた。塾を開く金は父が出してくれた。公務員をしている父が、こつこつと貯めたなけなしの金だった。幸い家が市の中央にあり、だだっぴろいだけが取り柄の古い家を改造して始めたのだ。それが金井の、一見明るく見える性格のせいか、若さと熱意のせいか、意外に順調に経営は伸びた。このあたりで、できれば塾の建物を新築したいところなのだ。


〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463

関連記事

  1. 『塩狩峠』[ かくれんぼ ]363 菊が吉川の肩に手をお…………

  2. 『果て遠き丘』[ 蛙の声 ](八)4 恵理子にしても、今日……

  3. 『果て遠き丘』[ 蛙の声 ](六)4 再びキッチンに行くと……

  4. 『塩狩峠』[ 鏡 ]163 みなまで言わせずに貞……

  5. 『塩狩峠』[ かくれんぼ ]227 「教えて下さいな」…………

  6. 『塩狩峠』[ かくれんぼ ]174 「おりこうそうでいら…………

カテゴリー

アーカイブ